困った病気になっちゃったひとりぼっちな人のために


by ombres
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人に話す勇気

関西に出張中のボスと今後の事について、再度、話。人事担当者も関西に来てくれる。部下たちを誰に里子に出すか決定。今後のプランについて。いつ、どのような形で私の長期休暇&その後の在宅勤務を説明するか。

私は、「家庭の都合で」で休みたい。人事もそれに賛成。
でも、ボスには別の考えがあった。その日は、ボスはいきなり全部英語だった。

「それって、臭いものにフタだろ?日本的な。それで平気なの?」

え、日本的じゃダメですかね?
ローマではローマ人のようにしろとも言うし、私、日本人ですし。

ボス曰く、実は、ボスのお父さんはガンで亡くなった。姉妹も乳がんだけど、手術したくないので抗がん剤や色々な治療を何年もやっている。典型的なガン家系。だから、ガンのことはよく判る。すぐ死ぬようなガンじゃない。治療に2年、3年かかってもいいし、逆に気長にやらなきゃダメだ。体調悪かったら在宅したり、休んだり、体調良かったら、会社に来て様子見たり、皆と話して気晴らししたり。そのためには、病状はこうで、今後はこうだとマネージメントミーティングで皆にちゃんと説明しろ。サポートが必要な時に助け合うのがチームだ。お前には、「私はガンよ。だから何?」と毅然として、チームの一員として続け、皆にその背中を見せてやって欲しい。

…ちょっと、ナニ、マネージメントミーティングで説明って?

人事担当者「日本人はそこまでガンに対して成熟していないので、まだガン=死ぬ。だから、病人に腫れ物扱いしたり、何もやらせなくなったりしてしまう。発表したら、居づらくなってしまうのではないか?」

ボス「成熟さがないなら、成熟しなければならない。ここはアメリカの会社で、アメリカでは病気になると、皆、そうしている。本人が説明義務も果たすし、必要なサポートはこうだとはっきり言う。皆がそれに応じてサポートする。皆、誰だって病気になる可能性があるのに、それすらサポートし合えない組織は、『チーム』ではない。俺は、自分のチームにそれを学んで欲しいし、ここはそういう会社なんだって判らせたい」

…まあ、仰る事は確かに正論で理解できるんですけどもー…。

ボス「家庭の事情だなんて言って、しばらく休んでも、そのうちきっと変な噂になる。そしたら、逆に説明も面倒になるし、ストレスになるし、仕事もし難くなってしまう。だから、自分の口できちんと説明しておいた方がいい。お前が治療したい&仕事したいというなら、いつまでもサポートするし、お前が『治療イヤになったから、もう樹海行きたい』って言っても、冷たいようだけどそれはお前の人生だから、俺はそれでもいいと思ってるんだよ。だけど、お前もリーダーなんだから、ちゃんと皆に説明して、やって行くという勇気を見せてやってくれ」

…勇気。
私とは無縁のもの。

「誰にもガンだって言わないで、仕事を続けて、強いね」

亡くなったガン友Aさんが、メールでそう言った。彼女は肺がんだった。

Aさん、違うんだよね。私は弱いの。だから誰にも言いたくないの。誰にも心配されたくない。自分の事でその人が心を痛めるだろうとか、悲しむだろうとか思ったら、実際に悲しまれたら、泣かれたら、もうとっても辛い。

だから、言わない。知らせない。甘えない。その方が楽なの。強くないの。弱いの。すごくズルいの。向き合わないの。

ずっとそう思ってきたんだけど、Aさんには、「そうだよ。強いんだよ。Aさんも大丈夫、人間って、案外強いものなんだよ」と、Aさんが亡くなるまで、また意味不明な励ましを続けていた。…と、遠い記憶が蘇ってくる。


ボス「あとさ、どういう言い方がいいのか判らないけど、回りの人間に後悔させるような選択はするなよ」

ボスが何を言ってるのか、何となく判った。スタッフのLさんを思い出した。

ある日突然休み始めた。公式なコメントはなかった。どうしたんだろうね?と言っている間に、別人のように痩せた姿で現れて、それでも事情説明がなくて、「ガン?」「足が痛いって言ってた」「足が痛くて膨れたけど、筋肉痛かと思ってマッサージしてたって」と噂が広がった。彼は、x-boxで会社の皆と良く遊んでいた。オンラインになってないかな?気晴らしで遊んでないかな?とチェックしても、全くその形跡はなかった。

しばらくして、最初の公式コメントが、「残念なお知らせです」だった。それでも、病名の告知はなかった。

ガンじゃないか?って判った時、コンタクトしたかった。励ましたかった。私もガンだけど、大丈夫だよって言ってあげたかった。

大丈夫だよ。治るよ。元気になって、仕事に戻れる。皆、待ってる。抗がん剤、キツいよね。焦らなくていいからね。

…役には立たなくても、言ってあげたい事、やってあげたい事はたくさんあった。もし入院していたなら、気分が晴れるような差し入れをしてあげたかった。

でも、彼は理由を明らかにしないで休み、一人で亡くなって行った。人事と彼の上司しか本当のことを知らなかった。それが、本人とご家族のご希望だったのかもしれないけど。


私もいつか、死ぬ。
どうせ死ぬなら、回りの人に、「色々やってあげたよね」「やるべき事はやってあげたね」と、満足させて死ぬというのも、死ぬ人の責任の一部なんだろうか?残された者は、それでカタルシスを得られるんだろうか?


…あーあ。
仕方ないな。
そういえば、確かに、本社の誰かも白血病だって発表あって、皆でお見舞いの寄せ書きとかしたっけな。すっかり元気になって戻ってきて、また活躍しているから、すっかり忘れていたけど。

あーあ。
最初にガンになった時の会社もアメリカの会社だった。
でも、ちゃんと説明して、社会人的に良いことは一つもなかった。
…と、思って、逃げ出して転職しちゃったんだった。

あーあ。
こうなったら、また言うよ。ちゃんと皆の前で。「ガンですよ。でも、大した事ないから心配要らない。しばらくサポートお願いね。皆も、健康には気をつけてちゃんと検査してね」って。

で、見せるよ。ガン女としてのイキザマを。ヅラでも会社行くよ。あちこち痛くなっちゃって、杖ついても行くよ。やせ衰えちゃっても行くよ。自分から逃げないで、「もう、来るな」って言われるまで行くよ。そして、皆に見せるよ。ガンで仕事を続けるって、どういう事なのかを。


今までだって、やってきたんだし、これからだって、きっとできる。
やるよ。仕事ないと困るし。


しかし『樹海』ってナニ?
ボスにとっての自殺=樹海なのか?


あーあ。
仕方ないから、マシなカツラを買おう。
適当でいいやと思っていたけど、どうせなら、「全然、ガンには見えないね」って言わせたい。綺麗に痩せるよう筋トレもして、お洒落もせねば。「あの人、見るからにガンっぽいね」とか言われたら、ムカつく。


でも、ちょっと仕事はスピードダウンしたい。マジで。


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by ombres | 2010-08-19 00:00 | 仕事のこと