エンドキサン、ハゲませんから
2010年 09月 05日
昨日の夜、Pたんと久しぶりに電話で話した。
「Pたん」とか馴れ馴れしく呼んでいるけど、実は最初の治療の時に主治医のU先生を補佐してくれていた女医さん。手術も、U先生は大先生なので肝心な所だけで、あとはPたんがチクチク縫ってくれた。巨大腫瘍だったのに上手に温存してくれたから、見た目はイビツで脇は抉れているけれどもサポート用品は要らなかった。リンパもレベル3まで、背中の方までごっそり取ったのに、この6年、全く浮腫もなかった。脇が引き攣れる事や僅かな痛みはあったけど、日常生活には全然支障がなかった。しかも、局所再発もしなかった。きっちりガンを取りきってくれた。本当に手術が上手だったんだなあと思う。
その後、個人的なお友達になって、タカノのスパに行ったり、酔っ払って六本木ハイアットに泊まったり、タイのペニンシュラでまったりしたり、よく遊んだものだった(遠い目…)。私はU先生を追っかけて関西に行き、Pたんも母校の大学病院がメインになって、さらに結婚&出産して、お互い忙しく連絡を取り合う事もなかったけど、今回のことでは、転院の時にも親友Tとあちこちコンタクトしてくれていた。
で、Pたんに、今までの治療と今後の治療について、クリアにしたい部分を色々質問してみた。
Q.どうしてゼローダ使ったの?
A.術前抗がん剤でCR(ガン細胞完全消滅)した人はいいが、そうでなかった人はどこかに微小転移が残っていると考え、術後の抗がん剤を使用すべきではないかと考えていた。当時K病院では「CEF」が標準だったが、初回「AC」で転院してきてそのまま「AC」を続けていたので、術後にF(ゼローダ)を追加した。
→ゼローダの再発予防使用にはエビデンスがない。「再発予防」としてではなく、進行ガンでさらに術前でCRでなかった場合には、病理的に確認できる大きさにはなっていない「転移」が、すでにどこかにある=「転移患者」という解釈。
Q.今後も臨床データはない?
A.ゼローダを長く使える患者さんというのが非常に限られていて(副作用や症状等から)、今後も長期使用や予防使用の臨床データが取れるかは不明。
Q.ゼローダを長期使用していて、そこにエンドキサンをプラスして、効果はあるのか?耐性がついているのでは?
A.自分の患者さんでも、結構長期ゼローダを使っていて、その後ゼローダにエンドキサンをプラスして効果が出たケースが結構ある。相乗作用がある。点滴の抗がん剤と比較すると副作用がマイルドなので、試してみる価値はある。だめだったらナベルビンとかタキソールとか、まだ色々ある。
Q.エンドキサンで閉経は狙えるか?まだ、乳腺や卵巣は結構活発で、婦人科では卵巣見て、「リュープリン止めましたか?」と毎回聞かれる。今年8月の婦人科検診でも聞かれたので、まだでは?
A.閉経するかもしれないが、個人差がある。乳腺や卵巣がまだ活発なようだったら、閉経してない可能性が高い。副作用がなかったら、リュープリンを続けた方がいい。
Q. タモは止める?今までの治療の効果は?
A. タモはしばらく止めてもいいかも。今までの治療を「効果があったから、抑えられた」と解釈するか、「効果がなくなって、抑えられなくなった」と解釈するかの違い。自分もU先生も、初発のあの進行状態で転移が6年も大きくならなかったのは、今までの治療に一定の効果があったと判断する。
そして、一番、確認したかったこと。
「今回もやっぱり数週間でハゲる?あらかじめ、坊主にしとこうかなあ」
「え、そんなハゲませんよ。早まっちゃダメですう~!」
「でも、U先生はハゲるって」
「今を10とすると、7とか6くらいになるだけ。季節の変わり目の脱毛もあるかもですけど~」
7か6って、もう現状が全盛期の7か6状態にしか復活していなくて十分薄毛なのに、さらにそこから7か6?
それって…。
それって……「うすらハゲ」ってこと?
すっきりハゲればヅラ対応もできるのに、中途半端に残っていたら難しいんじゃない?見た目も相当ショボくなるし。いっそスキンヘッドの方が潔くない?…と微妙な気持ちに。
Pたんは、U先生と電話で私の事を色々話してくれたらしい。
U先生は「働きすぎ。海外出張がマズい」とか言っていたとのこと。まあ、やっぱり時差もあって調子狂うし、宇宙線被爆とか?抗がん剤中も、別に仕事に制限はないけど、飛行機乗る海外出張だけはNGだって言ってたしなあ。
「だけどさ、転職を勧めてくれたのはU先生なんだよ?仕事辞めた方がいいですとか最近は言ってたけど、仕事がなかったら、ねえ?」
「生計が維持できませんよねえ」
「しかも、抗がん剤の時にだって放射線の時にだって、ずっとずっと仕事し続けてたのに、だよ?」
「ですよねー」
まあ、油断しちゃったのは確か。仕事は本当に忙しかったんだけど、6年経ったから、もう逃げ切れたかと思って健康管理が適当になってた。疲れていたけど気合で何とかなると思った。今までもそうしてきたし。でも、それは間違いだった。最初の時は良かったかもだけど、6年分、自分は老化していた。だから今回は休む。
手術で入院していた時に、10年目に肺転移しちゃったという患者さんがいて、
「油断しちゃったのよねえ。仕事やりすぎちゃった。あなたは気をつけて。10年経っても出てくるから」
とアドバイスされていた。彼女は北海道で大きな歯科を経営している歯医者さんだった。5年後無治療で経過観察していたのだが、10年目に転移してK病院に来ていた。「スタッフをたくさん育てて、病気の事を忘れて、色々油が乗ってきて、結構無理しちゃったのよね」と笑っていた。連絡取り合っていないので、その後は不明なのだけど、先輩患者さんの言葉は、ちゃんと聞いとくべきだったなあと思った。
乳がんはしつこい。10年経っても起き出す。
でも、普通のガンとは違って、単なる「乳がん」だけでは死なないから、最初は別に慌てたり悲観したりする必要もない。転移&再発を経て、やっと普通のガンと同じようなコースに乗る。それでも結構ゆっくりさんが多いので、色々考えたりやったりする時間はある。
まあ、予想外に早かったら、それは運が悪かったということで。
明日、CTとマンモの結果を見てから、今後の治療方法が決まる。思いがけず変なことになっていたら、マイルドなゼローダ&エンドキサンどころじゃない。でも、まあ、ナニゴトも、サダメです。
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「Pたん」とか馴れ馴れしく呼んでいるけど、実は最初の治療の時に主治医のU先生を補佐してくれていた女医さん。手術も、U先生は大先生なので肝心な所だけで、あとはPたんがチクチク縫ってくれた。巨大腫瘍だったのに上手に温存してくれたから、見た目はイビツで脇は抉れているけれどもサポート用品は要らなかった。リンパもレベル3まで、背中の方までごっそり取ったのに、この6年、全く浮腫もなかった。脇が引き攣れる事や僅かな痛みはあったけど、日常生活には全然支障がなかった。しかも、局所再発もしなかった。きっちりガンを取りきってくれた。本当に手術が上手だったんだなあと思う。
その後、個人的なお友達になって、タカノのスパに行ったり、酔っ払って六本木ハイアットに泊まったり、タイのペニンシュラでまったりしたり、よく遊んだものだった(遠い目…)。私はU先生を追っかけて関西に行き、Pたんも母校の大学病院がメインになって、さらに結婚&出産して、お互い忙しく連絡を取り合う事もなかったけど、今回のことでは、転院の時にも親友Tとあちこちコンタクトしてくれていた。
で、Pたんに、今までの治療と今後の治療について、クリアにしたい部分を色々質問してみた。
Q.どうしてゼローダ使ったの?
A.術前抗がん剤でCR(ガン細胞完全消滅)した人はいいが、そうでなかった人はどこかに微小転移が残っていると考え、術後の抗がん剤を使用すべきではないかと考えていた。当時K病院では「CEF」が標準だったが、初回「AC」で転院してきてそのまま「AC」を続けていたので、術後にF(ゼローダ)を追加した。
→ゼローダの再発予防使用にはエビデンスがない。「再発予防」としてではなく、進行ガンでさらに術前でCRでなかった場合には、病理的に確認できる大きさにはなっていない「転移」が、すでにどこかにある=「転移患者」という解釈。
Q.今後も臨床データはない?
A.ゼローダを長く使える患者さんというのが非常に限られていて(副作用や症状等から)、今後も長期使用や予防使用の臨床データが取れるかは不明。
Q.ゼローダを長期使用していて、そこにエンドキサンをプラスして、効果はあるのか?耐性がついているのでは?
A.自分の患者さんでも、結構長期ゼローダを使っていて、その後ゼローダにエンドキサンをプラスして効果が出たケースが結構ある。相乗作用がある。点滴の抗がん剤と比較すると副作用がマイルドなので、試してみる価値はある。だめだったらナベルビンとかタキソールとか、まだ色々ある。
Q.エンドキサンで閉経は狙えるか?まだ、乳腺や卵巣は結構活発で、婦人科では卵巣見て、「リュープリン止めましたか?」と毎回聞かれる。今年8月の婦人科検診でも聞かれたので、まだでは?
A.閉経するかもしれないが、個人差がある。乳腺や卵巣がまだ活発なようだったら、閉経してない可能性が高い。副作用がなかったら、リュープリンを続けた方がいい。
Q. タモは止める?今までの治療の効果は?
A. タモはしばらく止めてもいいかも。今までの治療を「効果があったから、抑えられた」と解釈するか、「効果がなくなって、抑えられなくなった」と解釈するかの違い。自分もU先生も、初発のあの進行状態で転移が6年も大きくならなかったのは、今までの治療に一定の効果があったと判断する。
そして、一番、確認したかったこと。
「今回もやっぱり数週間でハゲる?あらかじめ、坊主にしとこうかなあ」
「え、そんなハゲませんよ。早まっちゃダメですう~!」
「でも、U先生はハゲるって」
「今を10とすると、7とか6くらいになるだけ。季節の変わり目の脱毛もあるかもですけど~」
7か6って、もう現状が全盛期の7か6状態にしか復活していなくて十分薄毛なのに、さらにそこから7か6?
それって…。
それって……「うすらハゲ」ってこと?
すっきりハゲればヅラ対応もできるのに、中途半端に残っていたら難しいんじゃない?見た目も相当ショボくなるし。いっそスキンヘッドの方が潔くない?…と微妙な気持ちに。
Pたんは、U先生と電話で私の事を色々話してくれたらしい。
U先生は「働きすぎ。海外出張がマズい」とか言っていたとのこと。まあ、やっぱり時差もあって調子狂うし、宇宙線被爆とか?抗がん剤中も、別に仕事に制限はないけど、飛行機乗る海外出張だけはNGだって言ってたしなあ。
「だけどさ、転職を勧めてくれたのはU先生なんだよ?仕事辞めた方がいいですとか最近は言ってたけど、仕事がなかったら、ねえ?」
「生計が維持できませんよねえ」
「しかも、抗がん剤の時にだって放射線の時にだって、ずっとずっと仕事し続けてたのに、だよ?」
「ですよねー」
まあ、油断しちゃったのは確か。仕事は本当に忙しかったんだけど、6年経ったから、もう逃げ切れたかと思って健康管理が適当になってた。疲れていたけど気合で何とかなると思った。今までもそうしてきたし。でも、それは間違いだった。最初の時は良かったかもだけど、6年分、自分は老化していた。だから今回は休む。
手術で入院していた時に、10年目に肺転移しちゃったという患者さんがいて、
「油断しちゃったのよねえ。仕事やりすぎちゃった。あなたは気をつけて。10年経っても出てくるから」
とアドバイスされていた。彼女は北海道で大きな歯科を経営している歯医者さんだった。5年後無治療で経過観察していたのだが、10年目に転移してK病院に来ていた。「スタッフをたくさん育てて、病気の事を忘れて、色々油が乗ってきて、結構無理しちゃったのよね」と笑っていた。連絡取り合っていないので、その後は不明なのだけど、先輩患者さんの言葉は、ちゃんと聞いとくべきだったなあと思った。
乳がんはしつこい。10年経っても起き出す。
でも、普通のガンとは違って、単なる「乳がん」だけでは死なないから、最初は別に慌てたり悲観したりする必要もない。転移&再発を経て、やっと普通のガンと同じようなコースに乗る。それでも結構ゆっくりさんが多いので、色々考えたりやったりする時間はある。
まあ、予想外に早かったら、それは運が悪かったということで。
明日、CTとマンモの結果を見てから、今後の治療方法が決まる。思いがけず変なことになっていたら、マイルドなゼローダ&エンドキサンどころじゃない。でも、まあ、ナニゴトも、サダメです。
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by ombres
| 2010-09-05 22:13
| 再発後治療